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zoom RSS sakura-con2007即席レポートその3(パネル編)

<<   作成日時 : 2007/04/12 15:19   >>

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■sakura-con2007即席レポートその3(パネル編)
sakura-con2007で自分が覗いたプログラムについて。今回はパネル編です。

●The Melancholy of Haruhi Suzumiya Premier
5月に北米リリース予定のアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」英語吹替版、0話と1話の上映がありました。キョンの声は演技も含めて良い出来だと思います。長門もいいんじゃないでしょうか。ハルヒは平野綾のイメージが強すぎるせいかちょっとパンチ力不足かも。みくるの甘ったるいアニメ声も英語吹き替えでは難しいですね。いずれにせよマニア注目のタイトルです。
客席のウケも良かったし……というか、むしろお前らすでに全編見てるクチだろ!という印象でした。

イベント全般に言えますが、進行や運営は結構ぐだぐだで、しかもそれが当たり前の姿です。スクリーン設置などの事前準備を除けば部屋にスタッフはいないし、ノートPCでDVDを再生するのに使い方がよくわからなかったり、上映のたびに「あのー、誰か照明を消して(点けて)くれませんかー」という調子。何でも至れり尽くせりのお客様気分に慣れている日本人から見れば文句の一つも出そうなところですが、そこはそれ、文句があるならまずおまえが動けの精神が生きているとでも言いましょうか、ファンイベントらしいおおらかさがあります。プログラムの開始・終了時刻も結構適当。それで普通なんです。


●Akitaro Daichi Q&A
今回のイベントに日本から招かれたゲストは島本須美、大地丙太郎、名塚佳織、倉田英之、平野耕太、内藤泰弘、箕輪豊など。(当初予定されていた長濱博史はキャンセルになったらしく代わりに箕輪豊が追加されていました。)
基本的にゲストは「質疑応答」「サイン会」の2つのプログラムに出演するようになっています。それに加えて、例えば島本須美なら「風の谷のナウシカ」吹き替えコンテストの審査員、平野耕太なら「Hellsing Ultimate」プレミア上映のゲスト、などの企画参加があります。

個人的に大好きな監督ということで大地丙太郎Q&Aに参加。上述のごとく、前のプログラムが押したために1時間の予定がその半分くらいに。通訳の方もボランティアでやや心許ない感じでしたが、参加者数十人と和気あいあいと質疑応答が行われました。

(ギャグとシリアスを切り替える演出が得意だが?)「監督した『こどものおもちゃ』がギャグとシリアスのバランスが特徴的な作品で、シリアスなシーンで泣く直前でギャグに振るという演出をしたらうまくいった。その後は自分の演出スタイルになっている。」

(スピード感のある演出について)「『赤ずきんチャチャ』で、大地丙太郎、佐藤竜雄、桜井弘明の3人でどれだけ面白くできるか競い合った。アイデアが多すぎて30分枠におさまりきらず、詰め込んだらテンポが速くなった。その後アニメ作品の演出テンポが速くなっていったきっかけを作れたと思う。チャチャ以前のアニメはテンポが遅い。」

(「今、そこにいる僕」は作品歴の中でも異色のギャグ無し作品だが?)「自分の得意なギャグを封じてとことんシリアスに恐ろしい戦争を描いたので自分もつらかったが作ってよかった。今ではもうこういう作品を企画として通してくれるところはないだろう。その意味でもこの作品を作ることができてよかった。」

(「フルーツバスケット」の続編を作る気はありますか?)「アジアでもアメリカでもどこでも一番よく聞かれる質問。アニメ版では力を尽くしたし、いい終わり方ができたと思う。続編のオファーが来たことはあるが、作画監督とも相談してアニメ版の出来と完結に納得しているという点で一致し、結局お断りした。今後も何度も聞かれるだろうが同じ答えをするしかない。この作品がたくさんのファンに支持されているのは幸せなこと。」
など。

個人的に思ったこと。
「フルーツバスケット」は欧米でもとても人気がある作品。第1回American Anime Awardでもマンガ部門を受賞している。翌日のコスプレコンテストに飛び入り参加した大地監督が観客に紹介されたときも、読み上げられた監督作品リストに対する観客の歓声は「十兵衛ちゃん 」<「こどものおもちゃ」<<<<「フルーツバスケット」と、圧倒的なものだった。
思うに「フルーツバスケット」が掘り起こしたファン層の次の受け皿になっているのが今の「桜蘭高校ホスト部」なのだろう。キャラクターデザインやコメディ演出が比較的似た味を持っているし、花ゆめ少女マンガらしいキャラクター配置のくすぐりも通じる。会場内では桜蘭高校の制服のコスプレがとても多かったし、北米ではTV放映はおろかDVDリリースもされていないこの作品に対するファンの注目度の高さには驚かされる。


●History of Adult Anime Themes
夜の12時から午前2時までHentaiを語り合いましょうという企画。部屋の入口で年齢チェックされます。4〜50人は参加していたでしょうか。ホストも7人くらいいたし、質問も活発で、なかなか盛況でした。

やはりというか、外国人の疑問は「なんでtentacle(触手)なの???」という点に集中するようです。何度も繰り返し質問が出ていました。パワーポイントで葛飾北斎の「蛸と海女」(参考→Tentacle rape (Wikipedia))の紹介に始まり、日本のわいせつ表現規制の根拠となっている刑法175条が非常に広範に適用可能な文言であることや、男性器の直接的な描写ができないためにモザイクという手法が用いられるが、マンガでは別なものに置き換えて表現されることなどが解説されていました。

他にも「HentaiとPornの違いは?(触手とかレイプとかロリが多くてキャラやプロットも独特)」「1988-89年の宮崎勤連続幼女誘拐殺人事件を機におたくのネガティブイメージが決定的なものになった」「1993年のヘアヌード解禁で日本の性表現は新しい時代に入りその影響はHentaiにも及んだ」など、なかなか興味深い内容。「Hentaiは社会に悪影響があるか?」という点では、米国と日本における殺人や強姦の数(米国が圧倒的に多い)とマンガの流通量(日本が圧倒的に多い)を比較したグラフを紹介したり。

質疑応答では「Hentaiをどこで入手する?」「親にHentaiなブツをどう言い訳する?」「おすすめのHentaiアニメ作品、ジャンルは?」「こんなシーンを見たけどこれって何の作品?」など。一般向けアニメ作品以上に流通の少ないジャンルだけに、ぶっちゃけネットとBitTorrentの勝利ということでしょうか。好きな作品名には「Bible Black」「お元気クリニック」などが挙がってました。

全体に雑談的で、目から鱗が落ちるような話はなかったけれど、こういう企画は日本でやるとより深く突っ込んだ話ができると思う。日本の現状はHentai好きの皆さんの想像を超えた域に達しているだろうから。うーん、これは日本向けの企画ですよ。


●A Parent's Guide to Anime
会場には子ども連れの親御さんも多い。子を持つ親としてアニメとどうつきあえばいいか、という親による親のためのパネル。

アニメやマンガの教育的効果として、見たり読んだりすることで読解力や表現力が、絵を描いたり文章を書いたり自分でキャラクターを作ったりすることを通じて芸術性や創造性が育まれる、異文化に触れるきっかけになる、という意見。
アニメはオールジャンルなので、全年齢が見られるものから各層にふさわしいものまで多様性があり、子どもにふさわしいかどうか親が考えて見せるべきという意見。

質疑応答では
「どの作品がふさわしくてどの作品がそうでないのか、シリーズものなどは全部目を通すわけにもいかないし、どう選んだらよいか?」
「ネット等の評価やレイティングがある程度参考になる」
「ハガレンは10代後半以上推奨。第1話で主人公が腕を失ったり、流血や残酷なシーンがある。父親が娘を改造してしまう衝撃的なエピソードもある。映像やキャラクター、ストーリーがすばらしい作品だが、ダークな面も多い」
「NARUTOは小学校高学年以上推奨」
「『今、そこにいる僕』は戦争の恐ろしい現実を描いており見て欲しいアニメ。ただし子ども向けではない」
「『銀河英雄伝説』は政治的な掘り下げなど優れた作品だが残念ながら米国リリースがない。TV版で110話という長さにファンサブ化も半ばで止まっている。」
など。

おおむね、教育効果の話と、「子どもに見せる作品」と「大人に見せる作品」についての話題でした。


●Intro to Reading Japanese
マンガを日本語で読むための第1歩。辞書はどんなものがいいか、作者名順に本が並ぶ米国の書店と違って、日本の書店は出版社とレーベルで棚が分けられている、日本の書籍をネットで買うには、など。

「辞書は漢字用にも1冊。」
「マンガの日本語は、語学学校や教科書で用いられるものとは異なり、完全に話し言葉になっているので難しい。」
「外国語を読むことは負担が大きいので強い意志と集中力、持続力が必要。」
「小説本は文章量や語彙が多くて難易度が高いが、ライトノベルというジャンルがある。これはマンガを文章に置き換えたようなもので、会話主体で字数も少ない。ただしマンガと同様に話し言葉なので教科書的ではない難しさは同じ。」
などなど。
ホストの方は「天使禁漁区」や「十二国記」など好きな作品に挑戦しているようで、とにかく「難しい」を連発していた。がんばって欲しい。

日本語で読むのに適したマンガってなんだろうと考えたが、なかなかこれといったものが浮かばない。パネルでは大人の丁寧語が読める作品として「いいひと。」を挙げていたけれどそうかしら? マンガには文法的に崩れた会話表現が非常に多いし、方言もあるし、言葉遣いの違いで性格や感情や立場(身分)を描写するので余計に難しいと思う。

個人的には、英語版のマンガが出版されていてかつアニメ化されているマンガ作品が適していると思う。日本語版マンガに加えて英語版マンガ、日本語版アニメ、英語版アニメという複数のレファレンスを使えば読み進むハードルが低くなるから。さらにアニメは耳からの刺激があるので、マンガ原作に忠実なアニメ化であれば語学の助けにもなると思う。あえて具体例を挙げるとすれば「ハチミツとクローバー」とか。アニメが原作に忠実で台詞の一致度が高いことに加え、文章になっているモノローグが多いこと、比較的「です・ます」調で話すキャラクターが多いこと、などが理由。ただし原作がマンガとして読みやすいかどうかというとやや疑わしい。
いずれにせよ、最も重要なのは自分がとことん惚れ込んだ作品を選ぶことだと思う。難易度云々より、なんとしてもこれを原書で読んでみたいという情熱こそが外国語に取り組む際に自分を支えるモチベーションになる。


●Lolita style
ロリータファッション好きの娘さん達による服の解説など。冒頭で、Hentaiの話題じゃないからね!と言ってました。
ゴシックとかパンクとか黒とか白とか。いろいろ難しいんだな……。


●Gundam It!: A Basic Gundam How-To
ガンダムの基礎をみっちり語るパネル……かと思いきや、ひたすらガンプラの解説でした。おじさんが「えーと、マスターグレードとパーフェクトグレードがあって、これが1/100でこれが1/144で……」と延々と語る謎のパネル。


パネル編は以上です。他にもアニメ企業や出版社の情報系パネルや、創作系ワークショップ(イラストやキャラ絵を描いてみよう! ビデオ編集してみよう! あみぐるみって何ですか? などなど)もありました。常時パネル3つとワークショップ2つが平行して行われ、様々な企画が催されていました。人気があるのはやはりゲストとの交流企画。ファンとの距離が近くて気さくにお話しできるところが、こうしたイベントの良さだと思いました。

なお、ほとんど記憶だけで書いているので内容の正確さは保障できませんがご容赦ください。
次回は上映編を予定しています。

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異をとなえん
2007/04/22 23:57

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